❶歩き出すための手順を整理しましょう!

人は物事の判断したり動作したりするとき、「前頭前野(ぜんとうぜんや)」で目から入った情報や耳から入った情報、手足の動きなどを処理し、指示を出します。
パーキンソン病やパーキンソン症候群の方は、この「前頭前野」で情報を処理する力が弱まるので、一度にたくさんのことができなくなります。
例えば…
ドアを開けて部屋に入るという一見単純な動きでも、「ドアノブをひねる・ドアを開ける・部屋に入る」といった複数のことを脳で1度に処理することができず、その結果動けなくなるという状態になってしまいます。
足のすくみを解消するためには、ご本人が行う動作の手順を整理し、一つの手順をシンプルにしていくことが大切になってきます。

❷環境を整えたら転ぶ回数が減りました(60代男性)

3年前に足の動きにくさを感じ、次第に転ぶ回数が増えて、大学病院を受診したら進行性核上性麻痺によるパーキンソン症候群と言われました。難病だが、今の段階ではできることは特別ないので自分で運動するようにと言われ、どうしたら良いかと考えていたところで妻がここの施設を紹介してくれました。
はじめの頃は姿勢の指導や手足を大きく振る練習をして、歩幅も広く歩けるようになっていたのですが、自宅内では相変わらず転ぶことが多く、自宅での動きを先生に診ていただきました。
よく転ぶ場所は、新聞紙が敷いてある場所でした。自分では気にしていなかったのですが、新聞紙を避けるように歩いていたようで、そのせいでバランスを崩しているのではないかと指摘を受けました。案の定、新聞紙を敷かずに同じ場所で歩いてみると、バランスを崩すこともなく安定して歩けました。
少しずつ進行していく病気ではありますが、その時々で自分の体にあったアドバイスを受けられてとても安心できます。

❸歩く手順だけでなく、環境の整理も重要!

パーキンソン病やパーキンソン症候群の方が行う、すくみ足の改善をするための代表的な方法は、「線またぎ」という方法です。つま先に、目安のテープを貼り、またぐように歩き出してもらうとすくみ足が出なくなることがあります。これは、歩き出す際に目から飛び込んでくる複数の情報を整理し、単にテープをまたぐという手順にすることで「前頭前野」の処理が快適になるため動作がスムーズになるのです。
前述の方のように、普通の人にとってはなんでもない新聞紙が、パーキンソン病やパーキンソン症候群の方にとっては動作を鈍らせてしまうほどの情報になることもあります。また、介護者からの「早く歩いて!なんで歩けないの?」のような急かす声がけも、前頭前野に負荷となる情報になるため、整理しなければならない環境の一つになります。
このように、歩く手順だけでなく、居住空間や介護者の関わり方など、患者を取り巻く「環境」の整理を丁寧に行っていくことが重要であり、刻一刻と変化する病気の症状に合わせた対応を専門家と相談して行っていくことが患者だけでなく、介護を行う家族や介護職にとってのストレス軽減につながります。

❹頭の中をシンプルにしましょう!

パーキンソン病やパーキンソン症候群のリハビリを進めていく上で最も大切なことは、情報を整理し、できるだけ頭の中をシンプルにすることです。目から入った情報や耳から入った情報など、一度に処理しなければいけない情報が少なければ少ないほど、動作はスムーズに行えるようになるのがこの疾患の特徴です。
患者の頭の中をシンプルにするためには…
①緩慢になりやすい動作の手順を整理する
②よく転ぶ場所など、環境を整理する
③介護に関わる方の「声かけ」を整理する
病気の特性上、長期にわたって体の症状が進行する場合もあり、特に介護する方にとっては受け入れがたい現実に直面し、不安に押しつぶされそうになることも多くあると思います。大切なのは先々の状況を予測しながら、準備していくことです。その上で、病気を知り、関わり方を一つ一つ専門家と整理していくことは欠かせません。そういった意味でも、患者だけでなく、介護に関わる方の頭がシンプルに整理できるよう、当スタジオではサポートさせていただきます。
ぜひご来店いただき「もっと楽に歩きたい」とご相談ください。